古典和歌stream

秋風に散る紅葉葉は女郎花
宿におりしく錦なりけり

歌の意味
秋風に散る紅葉は、女郎花の住む宿に織り敷いた錦であったよ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 410

詞書「題しらず」
 秋風に散る紅葉は、女郎花の住む宿に織って敷きつめた錦であったと詠んだ歌である。女郎花を宿の女主人になぞらえ、その庭に散り敷く紅葉を、女主人のために敷いた錦に見立てている。
 本巻の第四百八首が秋の林に錦を敷くと詠んだのに対し、本歌は女郎花の宿に錦を敷くと詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「秋風に」は、秋風に、の意である。
 二句「散る紅葉葉は」は、散る紅葉は、の意である。
 三句「女郎花」は、秋の七草の一つで、名の「女」から女性になぞらえて詠まれている。
 四句「宿におりしく」の「おりしく」は、錦を「織り敷く」意と、枝を「折り敷く」意を掛けた掛詞である。
 結句「錦なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、錦であったよ、の意である。「錦」は四句の「織る」の縁語である。

おりしく:錦を「織り敷く」意と、枝を「折り敷く」意を掛ける
をみなへし:秋の七草の一つ、名の「女」から女性になぞらえて詠まれる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
木のもとに織らぬ錦の積もれるは 雲の林の紅葉なりけり
次の歌
あしひきの山の紅葉は散りにけり 嵐の先に見てましものを