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木のもとに織らぬ錦の積もれるは
雲の林の紅葉なりけり

歌の意味
木の下に、織ったのでもない錦が積もっているのは、雲の林の紅葉であったよ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 409

詞書「題しらず」
 木の下に織ったのでもない錦が積もっているのは、雲の林の紅葉であったと詠んだ歌である。木の下に散り積もった紅葉を、織らずにできた錦に見立てている。
 「雲の林」は、紅葉の名所として知られた京の紫野の雲林院を指すとされる。前歌の「秋の林」を受け、本歌は「雲の林」の紅葉を詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「木のもとに」は、木の下に、の意である。
 二句「織らぬ錦の」は、織ったのでもない錦が、の意で、本巻の第四百三首の四句と同じ「織らぬ錦」を用いている。
 三句「積もれるは」は、積もっているのは、の意である。
 四句「雲の林の」は、雲の林の、の意で、雲林院を指すとされる。前歌の「秋の林」と「林」の語を共有している。
 結句「紅葉なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、紅葉であったよ、の意である。本巻の第四百七首と同じ結句である。

くものはやし:京の紫野にあった雲林院を指すとされる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
立ち寄りて見るべき人のあればこそ 秋の林に錦敷くらめ
次の歌
秋風に散る紅葉葉は女郎花 宿におりしく錦なりけり