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山城の淀の若菰かりにだに
来ぬ人頼む我ぞはかなき

歌の意味
山城の淀に生える若い真菰を刈りに来るように、かりそめにさえ来てくれない人を頼みにしている私は、なんとはかないことか。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 759

詞書「題しらず」
 かりそめにさえ訪れない人を、なお当てにして待っている自分のはかなさを嘆く歌である。上二句が序詞となり、淀の若菰を刈る景から「かりに」を導いている。前歌の「来まさぬ」に続き、訪れない恋人を嘆く歌が並ぶ。

 初句「山城の」は、国名の山城で、二句の地名「淀」を導く。
 二句「淀の若菰」は、淀川のほとりに生える若い真菰で、刈り取られる植物として三句の「かり」を導く序詞となる。
 三句「かりにだに」は、「かり」に若菰を「刈り」と、かりそめの意の「仮」を掛けた掛詞である。「だに」はさえの意を添える。
 四句「来ぬ人頼む」は、来ない人を当てにすることをいい、来ないとわかっていながら頼る矛盾を示す。
 結句「我ぞはかなき」は、係助詞「ぞ」が「我」を強め、形容詞「はかなし」の連体形で結ぶ。頼りにならないものを頼る自分へのあきれた思いである。

わかごも:若い真菰で、水辺に生える草
かり:菰を刈る意の「刈り」と、かりそめの意の「仮」を掛ける
たのむ:当てにする、頼りにする
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
須磨の海人の塩焼き衣をさをあらみ まどほにあれや君が来まさぬ
次の歌
あひ見ねば恋こそまされ水無瀬川 何に深めて思ひそめけむ