我が恋はなほ逢ひ見ても慰まず
いやまさりなる心地のみして
- 歌の意味
-
私の恋は、やはり逢ってみても心が慰まない。ますます思いが募っていく心地ばかりがして。
- 鑑賞
-
巻第十二 恋歌二 713
詞書は前の歌に続き「題しらず」
私の恋は逢っても慰まず、ますます思いが募る心地ばかりがすると詠む歌である。第七百十一首が逢えば慰むかと思っていたと詠んだのを受け、実際に逢ってもやはり慰まないと言い切り、一連の思いを推し進めている。
初句「我が恋は」は、私の恋は、の意である。
二句「なほ逢ひ見ても」は、やはり逢ってみても、の意で、前歌の第七百十二首の初句「逢ひ見ても」と同じ語を共有している。本巻の第七百十六首の初句と二句「逢ひ見てもなほ」は、同じ語を入れ替えて用いている。
三句「慰まず」は、心が慰まない、の意で、第七百十一首の二句「慰むや」に答えている。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「いやまさりなる」は、ますます募っていく、の意で、「いや」はいよいよの意を添える。
結句「心地のみして」は、心地ばかりがして、の意で、言いさして余情を残している。
いやまさり:弥増さり。いよいよ増さること
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
逢ひ見てもありにしものをいつの間に ならひて人の恋しかるらん
- 次の歌
-
逢ふことを待ちし月日のほどよりも 今日の暮れこそ久しかりけれ