逢ひ見てもありにしものをいつの間に
ならひて人の恋しかるらん
- 歌の意味
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逢ってからも平気で過ごしていたのに、いつの間に逢うことに慣れて、あの人がこれほど恋しくなったのだろう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 712
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢ってからも平気で過ごしていたのに、いつの間に慣れ親しんで、あの人が恋しくなったのだろうと詠む歌である。逢瀬を重ねるうちに知らず知らず相手なしではいられなくなった心を、自ら不思議がる形で表している。逢った後の恋しさを詠む一連の歌である。
初句「逢ひ見ても」は、逢ってからも、の意で、次歌の第七百十三首の二句「なほ逢ひ見ても」と同じ語を共有している。
二句「ありにしものを」は、平気で過ごしていたのに、の意で、「に」は完了、「し」は過去の助動詞、「ものを」は逆接を表す。本巻の第七百二十八首と第七百三十二首の二句も「ありにしものを」である。
三句「いつの間に」は、いつの間に、の意である。
四句「ならひて人の」は、慣れ親しんで、あの人が、の意で、「ならふ」は慣れる意である。
結句「恋しかるらん」は、恋しいのだろう、の意で、「らん」は原因を推量する助動詞である。
ならふ:慣らふ。慣れる、慣れ親しむ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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逢ひ見ては慰むやとぞ思ひしを 名残しもこそ恋しかりけれ
- 次の歌
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我が恋はなほ逢ひ見ても慰まず いやまさりなる心地のみして