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岩瀬山谷の下水うち忍び
人の見ぬ間は流れてぞ経る

歌の意味
岩瀬山の谷の下を流れる水のように、ひそかに忍んで、人の見ていない間は、涙を流して日を送っている。
鑑賞
巻第九 恋歌一 557

詞書「忍びたる人につかはしける」
 岩瀬山の谷底を流れる水のように、人の見ていない間はひそかに涙を流して過ごしている、と詠んだ歌である。人目を忍ぶ恋の苦しさを、目に見えない谷の下水にたとえている。
 詞書によれば、ひそかに思う人に送った歌である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「岩瀬山」は、大和の国の山とされる歌枕で、名に「岩」を含み、谷の下水を導いている。
 二句「谷の下水」は、谷底を人目につかずに流れる水、の意で、初句から二句までが三句の「うち忍び」を導いている。
 三句「うち忍び」は、ひそかに忍んで、の意である。
 四句「人の見ぬ間は」は、人が見ていない間は、の意である。
 結句「流れてぞ経る」は、涙を流して日を送る、の意で、「流れ」は下水の縁語である。係助詞「ぞ」と連体形「経る」が係り結びをなしている。

いはせやま:大和の国の山とされる歌枕
したみづ:物の下を人目につかずに流れる水
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
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ともすれば玉にくらべしますかがみ 人の宝と見るぞ悲しき
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