古典和歌stream

なげきをばこりのみ積みてあしひきの
山のかひなくなりぬべらなり

歌の意味
嘆き(投げ木)ばかりを伐っては積み重ねて、山の峡(谷あい)が埋まってなくなるように、生きている甲斐もなくなってしまいそうだ。
鑑賞
巻第十九 雑体 1057

詞書「題しらず」
 前二首に続き、「なげき」を「投げ木」として詠む一連の三首目である。投げ木を積み重ねて山の峡が埋まってしまうように、嘆きが積もって生きる甲斐もなくなりそうだと言う。「峡」と「甲斐」の掛詞で結んでいる。
 作者は不明で、「よみ人しらず」とされている。

 初句「なげきをば」は、「嘆き」と「投げ木」を掛ける掛詞である。一連の三首目として前二首を受ける。
 二句「こりのみ積みて」は、伐っては積むばかりで、の意である。
 三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 四句「山のかひなく」は、山あいの「峡」と「甲斐」を掛ける掛詞である。本巻の第千六十七首は同じ掛詞を「かひある」と反対の意に用いている。
 結句「なりぬべらなり」は、「べらなり」が平安初期に用いられた推量の表現で、〜しそうだ、の意である。

なげき:「嘆き」と、薪にする「投げ木」を掛ける
こる:木を伐る
かひ:山と山の間の「峡」と、「甲斐(効き目)」を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
なげきこる山とし高くなりぬれば つらづゑのみぞまづつかれける
次の歌
人恋ふることを重荷と担ひもて あふごなきこそわびしかりけれ