古典和歌stream

人恋ふることを重荷と担ひもて
あふごなきこそわびしかりけれ

歌の意味
人を恋うることを重い荷物として担いでいるのに、それを担ぐ天秤棒がない、つまり逢う機会がないことこそ、つらいことだ。
鑑賞
巻第十九 雑体 1058

詞書「題しらず」
 恋を重荷にたとえ、荷を担ぐ天秤棒「朸(あふご)」に「逢ふ期」を掛けて、担ぐ棒もなく、逢う機会もない苦しさを嘆く歌である。恋を荷物運びにたとえた卑近な比喩に誹諧の趣がある。
 作者は不明で、「よみ人しらず」とされている。

 初句「人恋ふる」は、人を恋い慕う、の意である。
 二句「ことを重荷と」は、恋の苦しさを担ぐ荷物に見立てる。
 三句「担ひもて」は、担って持って、の意である。
 四句「あふごなきこそ」は、荷を担ぐ天秤棒の「朸(あふご)」と、「逢ふ期」を掛ける掛詞である。「こそ」は係助詞である。
 結句「わびしかりけれ」は、「こそ」の結びで已然形「けれ」となる。重荷、担ふ、朸は縁語である。

あふご:荷を担ぐ天秤棒の「朸」と、「逢ふ期(逢う機会)」を掛ける
になふ:肩に担ぐ
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
なげきをばこりのみ積みてあしひきの 山のかひなくなりぬべらなり
次の歌
宵の間に出でて入りぬる三日月の われて物思ふころにもあるかな