うれしげに君が頼めし言の葉は
かたみに汲める水にぞありける
- 歌の意味
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うれしそうにあなたが頼みにさせた言葉は、目の粗い竹かごで汲んだ水のように、漏れてしまうはかないものであったのだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 558
詞書「人を相知りてのち、久しう消息もつかはさざりければ」
うれしそうにあなたが頼みにさせた言葉は、竹かごで汲んだ水のようにすぐ漏れてしまうものだった、と詠んだ歌である。契りを交わしたのちに便りをよこさない相手の約束のむなしさを嘆いている。
詞書によれば、契りを交わしたのちに、相手が長いあいだ便りをよこさなかったので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「うれしげに」は、うれしそうに、の意である。
二句「君が頼めし」は、あなたが頼みにさせた、の意で、「頼め」は下二段活用で期待させる意である。
三句「言の葉は」は、言葉は、の意である。
四句「かたみに汲める」の「かたみ」は、目の粗い竹かごの「筐」と、互いに、の意の「かたみに」を掛けた掛詞である。
結句「水にぞありける」は、水であったのだ、の意で、竹かごの水が漏れるように約束がむなしく消えたことをいっている。係助詞「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなしている。
かたみ:目の粗い竹かごの「筐」と、互いにの意を掛ける
ことのは:言葉、和歌
たのむ:頼りにさせる、期待させる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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岩瀬山谷の下水うち忍び 人の見ぬ間は流れてぞ経る
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行きやらぬ夢路にまどふたもとには 天つ空なき露ぞ置きける