古典和歌stream

逢ふことのかたのに今はなりぬれば
思ふかりのみ行くにやあるらむ

歌の意味
逢うことが難しい、交野ではないが、今はそうなってしまったので、交野へ狩りに行くように、思いばかりがあの人のもとへ通っていくのであろうか。
鑑賞
巻第八 恋歌下 502

 逢うことが難しくなってしまった今は、狩場として知られる交野へ狩りに行くように、思いばかりがあの人のもとへ通っていくのだろうか、と詠む歌である。難しと交野を掛け、交野の狩りに寄せて、身は逢えずに思いだけが向かう恋を表している。
 本巻の第五百首、第五百一首と同じく、「かた」の音に逢うことの難さを掛けている。

 初句「逢ふことの」は、逢うことがの意である。
 二句「かたのに今は」の「かたの」は、逢うことが「難」い意と、河内の歌枕で狩場として名高い「交野」とを掛けており、平仮名のままとした。
 三句「なりぬれば」は、なってしまったのでの意で、完了の「ぬ」の已然形「ぬれ」に接続助詞「ば」が付き、原因を表す。
 四句「思ふかりのみ」の「かり」は、交野の縁でいう「狩り」で、思いばかりが狩りに行くように向かうことを表している。
 結句「行くにやあるらむ」は、行くのであろうかの意で、断定の「なり」の連用形「に」、係助詞「や」、現在推量の「らむ」を用いて推量している。

かたの:逢うことが「難」い意と、河内の歌枕の「交野」を掛ける
かり:交野の縁でいう「狩り」
作者
よみ人しらず
出典
金葉和歌集
前の歌
逢ふことはかたねぶりなる磯ひたひ ひねり臥すともかひやなからむ
次の歌
近江にかありといふなるかれひ山 君は越えけり人と寝くさし