- 歌の意味
- 一年のうちはすべて春のままで暮れてほしい。せめて花を見てでも、このつらい世を過ごそう。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌 75
詞書「題しらず」
一年中が春のままで過ぎてほしい、せめて花を見ることでつらいこの世を過ごしたいと願う歌である。憂き世の慰めとしての花への思いが率直に表れている。
初句「年のうちは」は、一年の間は、の意で、字余りとなる。
二句「みな春ながら」は、すべて春のままで、の意である。
三句「暮れななん」は、完了の「ぬ」の未然形に願望の「なん」がついたもので、暮れてほしい、の意である。三句切れである。
四句「花見てだにも」は、「だに」が最小限の願望を表し、せめて花を見てでも、の意である。
結句「憂き世過ぐさん」は、つらいこの世を過ごそう、の意である。
うきよ:つらいことの多いこの世
すぐす:時を過ごす
- 作者
- よみ人しらず
- 出典
- 拾遺和歌集
- 前の歌
- 春霞たち別れ行く山道は 花こそ幣と散りまがひけれ
- 次の歌
- 風吹けば方も定めず散る花を いづ方へ行く春とかは見む