よそながら思ひしよりも夏の夜の
見果てぬ夢ぞはかなかりける
- 歌の意味
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離れたままで思っていた時よりも、夏の夜の見終わらない夢のほうが、はかないものであったことだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 171
詞書「あひ知りて侍りける中の、かれもこれも心ざしはありながら、つつむことありて、え逢はざりければ」
離れたまま思っていた時よりも、夏の短夜に見終わらない夢のほうがいっそうはかなかったと詠んだ歌である。逢えない恋のつらさよりも、夢の中でさえ逢いきれない短夜のはかなさを嘆いている。
詞書によれば、互いに知り合った仲で、どちらにも思う心はありながら、人目をはばかる事情があって逢えなかったので詠んだものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「よそながら」は、離れたままで、の意で、逢えずに遠くから思うさまを示す。
二句「思ひしよりも」は、思っていたよりも、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。前歌の第百七十首の「夢よりも」と同じく、比較の「よりも」を置いている。
三句「夏の夜の」は、前歌の第百七十首と同じ句で、短い夏の夜を示している。
四句「見果てぬ夢ぞ」は、見終わらない夢、の意で、短夜のために夢の中でさえ逢いきれないことを表す。「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「はかなかりける」は、はかないものであったことだ、の意で、連体形「ける」が四句の「ぞ」と係り結びをなす。前歌は夢よりもはかない別れを詠み、本歌は夢そのもののはかなさを詠んで、対をなしている。
よそ:離れた所、無関係な立場
つつむ:人目をはばかる、遠慮する
みはつ:最後まで見る、見終わる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夢よりもはかなき物は夏の夜の 暁がたの別れなりけり
- 次の歌
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二声と聞くとはなしに郭公 夜深く目をも覚ましつるかな