立ち出づる名残ありあけの月影に
いとど語らふほととぎすかな
- 歌の意味
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お立ちになる名残が惜しまれる、有明の月の光のもとで、いっそう鳴き交わすほととぎすであることよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1487
詞書「左衛門督家通、中将に侍りける時、祭の使にて神館に泊まりて侍りける暁、斎院の女房の中よりつかはしける」
夏を詠む一連の五首目である。お立ちになる名残が惜しまれる有明の月のもとで、ほととぎすがいっそう鳴き交わすと詠む。詞書によれば、藤原家通が近衛中将であった頃、賀茂祭の使として神館に泊まった暁に、斎院の女房たちの中から贈られた歌である。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
神館は、賀茂祭の折に斎院や勅使が宿った上賀茂の宿所である。
この歌には家通の返しがあり、次歌に置かれている。
初句「立ち出づる」は、神館を出立することをいう。祭の使が帰ってゆく暁の別れを示す。
二句「名残ありあけの」の「ありあけ」は、名残が「あり」の意と、「有明」を掛ける。別れを惜しむ心と、夜明けの月とを一続きに言い表す。
三句「月影に」は、有明の月の光のもとで、の意である。
四句「いとど語らふ」の「いとど」は、いっそう、の意である。前歌の「ほのかたらひし」と同じく、ほととぎすの鳴き交わしを「語らふ」と表す。
結句「ほととぎすかな」は詠嘆の「かな」で結ぶ。前歌で斎院の昔にほととぎすを聞いた式子内親王の歌に続き、同じ神館の暁のほととぎすが置かれている。
ありあけ:名残が「あり」の意と、夜明けに残る月の「有明」を掛ける
かんだち:賀茂祭の折に斎院や勅使が宿った宿所
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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ほととぎすそのかみ山の旅枕 ほのかたらひし空ぞ忘れぬ
- 次の歌
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幾千代とかぎらぬ君が御代なれど なほ惜しまるる今朝の曙