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幾千代とかぎらぬ君が御代なれど
なほ惜しまるる今朝の曙

歌の意味
幾千代と限りなく続くわが君の御代ではあるけれど、それでもやはり、今朝の曙の別れは惜しまれることだ。
鑑賞
巻第十六 雑歌上 1488

詞書「返し」
 夏を詠む一連の六首目で、前歌の斎院の女房の歌への藤原家通の返しである。君の御代は幾千代と限りなく続くが、それでも今朝の曙の別れは惜しまれると詠む。
 作者の「左衛門督家通」は、平安時代末期の公卿である。近衛中将を経て、左衛門督に至った。

 初句「幾千代と」は、限りなく長い年月をいい、斎院に仕える御代の永続を祝う言葉である。
 二句「かぎらぬ君が」は、限りのないわが君の、の意である。「君」は斎院を指す。
 三句「御代なれど」は、逆接の「ど」で、御代であるけれども、の意となる。祝いの言葉から、別れの惜しさへと転じる。
 四句「なほ惜しまるる」は、自発の「る」で、自然と惜しまれる、の意である。前歌の「名残」を受け、自分もまた別れを惜しむと答えている。
 結句「今朝の曙」は体言止めである。前歌の「ありあけの月影」を受けて、別れの時を「今朝の曙」と言い換え、神館での暁の別れを結んでいる。

あけぼの:夜がほのぼのと明けはじめる頃
作者
藤原家通
出典
新古今和歌集
前の歌
立ち出づる名残ありあけの月影に いとど語らふほととぎすかな
次の歌
梅が枝にをりたがへたるほととぎす 声のあやめも誰かわくべき