梅が枝にをりたがへたるほととぎす
声のあやめも誰かわくべき
- 歌の意味
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季節を取り違えて梅の枝に止まっているほととぎすよ。菖蒲で作られたその声の区別など、誰が聞き分けられようか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1489
詞書「三条院御時、五月五日、菖蒲の根を郭公の形に作りて、梅の枝に据ゑて、人の奉りて侍りけるを、これを題にて歌つかうまつれと仰せられければ」
夏を詠む一連の七首目である。季節を取り違えて梅の枝に止まるほととぎすの、菖蒲で作られた声の区別など誰が聞き分けられようかと詠む。詞書によれば、三条天皇の御代の五月五日、菖蒲の根をほととぎすの形に作って梅の枝に据えたものを人が献上し、これを題に歌を詠めと命じられて詠んだ歌である。
作者の「三条院女蔵人左近」は、三条天皇に仕えた女蔵人である。
五月五日は端午の節会で、菖蒲を軒に葺き、薬玉を掛けるなどして邪気を払った。
初句「梅が枝に」は、献上された作り物の据えられた梅の枝を示す。春の梅に夏のほととぎすを取り合わせた季節の食い違いが、一首の趣向となる。
二句「をりたがへたる」の「をり」は、時節の意の「折」と、枝を「折る」意を掛ける。季節を取り違えて止まっているさまを、折った梅の枝に重ねている。
三句「ほととぎす」は、菖蒲の根で作られたほととぎすである。前の歌々の神館のほととぎすから、作り物のほととぎすへと移る。
四句「声のあやめも」の「あやめ」は、物事の区別をいう「文目」と、「菖蒲」を掛ける。ほととぎすが菖蒲で作られていることを踏まえる。
結句「誰かわくべき」は、係助詞「か」を受けて連体形「べき」で結ぶ反語である。作り物のほととぎすの声など、誰にも聞き分けられないとし、題の作り物の見事さを興じている。
をり:時節の意の「折」と、枝を「折る」意を掛ける
あやめ:物事の区別や筋目をいう「文目」と、「菖蒲」を掛ける
わく:区別する。見分ける
- 作者
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左近
- 出典
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幾千代とかぎらぬ君が御代なれど なほ惜しまるる今朝の曙
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