二声と聞くとはなしに郭公
夜深く目をも覚ましつるかな
- 歌の意味
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二声と続けて聞いたわけでもないのに、ほととぎすの声に、夜深くに目まで覚ましてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 172
詞書「夏の夜、しばし物語して帰りにける人のもとに、またの朝つかはしける」
二声と続けて聞いたわけでもないのに、ほととぎすの声に夜深く目を覚ましてしまったと詠んだ歌である。しばし語らっただけで帰った人を、一声だけ鳴いて去るほととぎすになぞらえ、名残惜しさと物足りなさを伝えている。
詞書によれば、夏の夜、しばらく語らって帰っていった人のもとに、翌朝贈ったものである。
作者の伊勢は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮温子に仕えた。宇多天皇の寵愛を受け、のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「二声と」は、二声と続けて、の意で、ほととぎすの声がわずかであったことを示す。本巻の第百七十八首にも「ただ二声も」とあり、わずかな声を惜しむ趣向が通じている。
二句「聞くとはなしに」は、聞いたというわけでもないのに、の意である。
三句「郭公」は、短い間だけ鳴いて去るほととぎすに、しばし語らって帰った人をなぞらえている。
四句「夜深く目をも」は、夜が深いうちに目までも、の意で、「も」は添加を表す。
結句「覚ましつるかな」は、目を覚ましてしまったことだ、の意で、「つる」は完了、「かな」は詠嘆を表す。相手の訪れに心を揺さぶられ、眠れなくなったことをほのめかしている。
またのあした:翌朝
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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よそながら思ひしよりも夏の夜の 見果てぬ夢ぞはかなかりける
- 次の歌
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逢ふと見し夢にならひて夏の日の 暮れがたきをも嘆きつるかな