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白露は置きて変はれどももしきの
うつろふ秋はものぞ悲しき

歌の意味
白露は置いては草木の色を変えるものだが、宮中の主が移ってゆくこの秋は、何ともいえず悲しいことだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1722

詞書「亭子院おりゐたまはむとしける秋よみける」
 宮中の移り変わりを嘆く歌である。白露が置いて草木の色が変わるのは秋の常だが、帝が位を去り宮中の移ろうこの秋は、ことさらに悲しい、と詠む。詞書によれば、亭子院すなわち宇多天皇が譲位しようとした秋に詠んだ歌で、仕えてきた帝の退位を惜しむ心がこもる。
 作者の「伊勢」は、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の寵愛を受けた。父が伊勢守であったことからこの名で呼ばれ、三十六歌仙の一人に数えられる。
 亭子院は宇多天皇で、醍醐天皇に譲位したのち亭子院に住んだことからこう呼ばれる。

 初句「白露は」は、秋に草木に置く白い露である。露が置くと草木の色が変わるとされた。
 二句「置きて変はれど」は、置いては色を変えるけれども、の意である。「ど」は逆接の接続助詞で、自然の移り変わりを前提として示す。
 三句「ももしきの」は宮中をいう。前々歌で如覚が恋い慕った「ももしき」が、ここでは移ろうものとして詠まれる。
 四句「うつろふ秋は」の「うつろふ」は、宮中の主が移り変わる意と、秋が移ろい深まる意とを掛ける掛詞である。二句の露による色の変化とも響き合う。
 結句「ものぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。露による例年の変化とは違う、宮中の移ろいの悲しさを強く言い切っている。

うつろふ:宮中の主が移り変わる意と、季節や色が移ろう意を掛ける
おりゐる:天皇が位を退く
作者
伊勢
出典
新古今和歌集
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雲居飛ぶ雁の音近き住まひにも なほ玉章はかけずやありけむ
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天つ風吹飯の浦にゐる鶴の などか雲居に帰らざるべき