行きやらぬ夢路にまどふたもとには
天つ空なき露ぞ置きける
- 歌の意味
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行き着くことのできない夢の通い路に迷う袂には、空から降ったのではない露、すなわち涙が置いていることだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 559
詞書「題しらず」
あの人のもとへ行き着けない夢の通い路に迷う袂には、空から降ったのでもない露、つまり涙が置いている、と詠んだ歌である。夢でさえ逢えずに流す涙を、空から来たのではない露にたとえている。
本巻の第五百三十八首と同じく、夢でさえ逢えない恋の嘆きを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「行きやらぬ」は、最後まで行き着けない、の意である。
二句「夢路にまどふ」は、夢の中で恋しい人のもとへ通う道に迷う、の意である。
三句「たもとには」は、袖には、の意である。
四句「天つ空なき」は、空からのものではない、の意で、露が天から降るものとされたことをふまえている。
結句「露ぞ置きける」は、露が置いていることだ、の意で、露は涙をたとえている。係助詞「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなしている。
ゆめぢ:夢の中で恋しい人のもとへ通う道
あまつそら:天の空、大空
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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うれしげに君が頼めし言の葉は かたみに汲める水にぞありける
- 次の歌
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身は早く奈良の都となりにしを 恋しきことのまだも古りぬか