見せばやな露のゆかりの玉かづら
心にかけて忍ぶ気色を
- 歌の意味
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見せたいものだ。露のようにはかない縁につながる玉鬘を心にかけて、ひそかに慕っているこの様子を。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 871
詞書「寄源氏物語恋といへる心を詠める」
「源氏物語に寄する恋」の題で詠んだ歌である。見せたいものだ、露のゆかりの玉鬘を心にかけて忍ぶ様子を、と詠む。『源氏物語』の玉鬘の巻に描かれる、夕顔の娘の玉鬘を題材に、玉鬘にひそかに思いを寄せる者の心になって詠んでいる。頭に掛ける髪飾りである「玉鬘」の縁で「かけて」と続け、心にかけて忍ぶ恋の思いを相手に見せたいという願いを表している。
作者は「よみ人しらず」とされている。
次歌の第八百七十二首も同じ「寄源氏物語恋」の題の歌で、二首が並ぶ。本巻の第八百六十一首の四句「見せばや」、第八百八十六首の初句「見せばやな」と、恋の思いを見せたいと願う歌が巻中に繰り返されている。
初句「見せばやな」の「ばや」は願望の終助詞、「な」は詠嘆の終助詞で、見せたいものだ、の意である。ここで句切れとなり、二句以下と倒置の関係にある。本巻の第八百八十六首の初句と同じである。
二句「露のゆかりの」の「露」ははかないものの意で、はかなく世を去った玉鬘の母、夕顔とのゆかりを指すと考えられる。「ゆかり」は縁、つながりのことである。
三句「玉かづら」は『源氏物語』の女君の玉鬘を指す。「玉鬘」は本来、頭に掛ける髪飾りのことで、四句の「かけて」の縁語となる。
四句「心にかけて」は心にかけて思い続けて、の意である。三句の「玉鬘」の縁で「かけ」と続ける。
結句「忍ぶ気色を」の「忍ぶ」はひそかに慕う意で、「気色」は様子のことである。初句の「見せばやな」の対象を示して結ぶ。
ゆかり:縁、つながり
たまかづら:頭に掛ける髪飾り。ここでは『源氏物語』の女君の玉鬘を指す
けしき:様子、そぶり
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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鶯はなべて都に馴れぬらん 古巣に音をば我のみぞなく
- 次の歌
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逢坂の名を忘れにし仲なれど せきやられぬは涙なりけり