わりなくも寝ても覚めても恋しきか
心をいづちやらば忘れむ
- 歌の意味
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どうしようもなく、寝ても覚めても恋しいことよ。この心をどこへやったら忘れられるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 570
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
理屈ではどうにもならず、寝ても覚めても恋しいと嘆き、この心をどこへ追いやれば忘れられるのかと問う歌である。恋心を自分の意のままにならないものとしてとらえ、心そのものを遠ざけたいと願う発想に、恋の苦しさの深さが表れている。寛平御時后宮歌合での作で、同歌合の歌が並ぶ一連の中に置かれている。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
初句「わりなくも」 「わりなし」は道理に合わない、どうしようもないの意で、理屈ではどうにもならない恋心を言う。
二句「寝ても覚めても」 寝ている時も起きている時も、つまり絶えずの意である。前歌の第五百六十九首が夢に悩まされる心を詠んだのを受け、眠りの内外を問わない恋しさへと広げている。
三句「恋しきか」 「か」は詠嘆の終助詞で、なんと恋しいことかの意となる。ここで句切れとなる。
四句「心をいづち」 「いづち」はどちら、どこへの意である。恋しく思う心そのものを遠くへ追いやりたいという発想である。
結句「やらば忘れむ」 「やる」は行かせる、送る意で、「ば」は仮定条件である。「む」は推量で、どこへやったら忘れられるだろうかと自問して結ぶ。
わりなし:道理に合わない、どうしようもない
いづち:どちら、どこへ
やる:行かせる、送る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わびぬれば強ひて忘れむと思へども 夢といふものぞ人頼めなる
- 次の歌
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恋しきにわびて魂迷ひなば むなしき殻の名にや残らむ