我がごとや雲の中にも思ふらむ
雨も涙も降りにこそ降れ
- 歌の意味
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私と同じように、雲の中でも物思いをしているのだろうか。雨も私の涙も、ひたすら降りに降っている。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 957
詞書は前の歌に続き「題しらず」
私と同じように雲の中でも物思いをしているのだろうか、雨も涙もひたすら降り続いている、と詠む歌である。降りしきる雨を、雲が自分と同じように物思いをして流す涙と見立て、恋に泣く自分の姿と重ねている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
初句「我がごとや」は、私のように、の意で、係助詞「や」が二句と三句にかかり、三句の「らむ」と係り結びをなしている。本巻の第九百六十五首の初句「我がごとく」と、同じ語を共有している。
二句「雲の中にも」は、雲の中でも、の意で、雲を人のように物思いをするものに見立てている。
三句「思ふらむ」は、物思いをしているのだろうか、の意で、「らむ」は現在推量の助動詞の連体形で初句の「や」の結びである。ここで句切れとなる。
四句「雨も涙も」は、雨も私の涙も、の意である。雲の流す雨と自分の流す涙を並べている。前歌の第九百五十六首の「雨降る川」を受けている。
結句「降りにこそ降れ」は、降りに降っている、の意で、同じ動詞を重ねて激しさを強めている。係助詞「こそ」を受けて、動詞「降る」の已然形「降れ」で結んでいる。
くも:雲。ここでは雨を降らせる雲を、物思う人に見立てる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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かき曇り雨降る川のささら波 間なくも人の恋ひらるるかな
- 次の歌
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降る雨に出でても濡れぬ我が袖の 陰にゐながらひちまさるかな