かき曇り雨降る川のささら波
間なくも人の恋ひらるるかな
- 歌の意味
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空が一面に曇って雨が降る川に、絶え間なく立つさざ波のように、絶え間もなくあの人が恋しく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 956
詞書は前の歌に続き「題しらず」
空が曇って雨が降る川に立つさざ波のように、絶え間なくあの人が恋しく思われる、と詠む歌である。雨に打たれて休みなく立つ川のさざ波に、片時もやむことのない恋しさを重ねている。
本歌から第九百六十一首まで、雨や涙を詠む歌が続き、本歌はその始まりとなっている。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
初句「かき曇り」は、空が一面に曇って、の意である。
二句「雨降る川の」は、雨の降る川の、の意である。本巻の第九百五十七首、第九百五十八首、第九百五十九首と、「雨」の語を共有している。
三句「ささら波」は、細かく立つ波、さざ波、の意である。上の三句は、絶え間なく立つさざ波の様子から、四句の「間なく」を導く序詞である。
四句「間なくも人の」は、絶え間もなくあの人が、の意である。
結句「恋ひらるるかな」は、恋しく思われることだ、の意で、「らるる」は自発の助動詞「らる」の連体形、「かな」は詠嘆を表す。
かきくもる:掻き曇る。空が一面に曇る
ささらなみ:細波。細かく立つ波、さざなみ
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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荒磯の外行く波の外心 我は思はじ恋ひは死ぬとも
- 次の歌
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我がごとや雲の中にも思ふらむ 雨も涙も降りにこそ降れ