青駒が足掻きを速み雲居にぞ
妹があたりを過ぎて来にける
- 歌の意味
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青毛の馬の足どりが速いので、妻の住むあたりを雲のかなたに遠く過ぎてきてしまった。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 136
詞書は前の歌に続き「柿本朝臣人麻呂、石見国より妻に別れて上り来る時の歌、反歌二首」
馬の足どりが速いために、妻の住むあたりをいつのまにか雲のかなたに遠く過ぎてきてしまったと、離れていく距離を嘆いた一首である。
人麻呂が石見の国で妻と別れ、都へ上るときに詠んだ一連は、石見相聞歌と呼ばれ、人麻呂の代表作として名高い。本歌は第百三十五首の長歌に添えられた反歌二首の一首目である。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の時代に活躍した宮廷歌人で、長歌や挽歌にすぐれ、万葉集を代表する歌人である。後の時代には歌聖と称えられた。
本文には異伝の注記があり、四句と結句を「あたりは隠り来にける」とする本がある。ここでは本行に従う。
初句「青駒が」の「青駒」は、黒みを帯びた青毛の馬である。
二句「足掻きを速み」は「〜を〜み」の形で原因を示し、足どりが速いのでの意である。
三句「雲居にぞ」の「雲居」は雲のある所、はるか遠くの意で、「ぞ」は係助詞として結句の連体形「ける」で結ぶ。
四句「妹があたりを」は、妻の住むあたりをの意である。
結句「過ぎて来にける」は、過ぎてきてしまったの意で、「ぞ」の係り結びを受けて詠嘆を込めて結ぶ。
あをこま:青毛の馬。黒みを帯びた毛色の馬
あがき:馬が足で地をかくこと、足どり
くもゐ:雲のある所、はるか遠い所
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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石見なる高角山の木の間ゆも 我が袖振るを妹見けむかも
- 次の歌
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秋山に落つる黄葉しましくは な散り乱ひそ妹があたり見む