秋山に落つる黄葉しましくは
な散り乱ひそ妹があたり見む
- 歌の意味
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秋の山に散り落ちる紅葉よ、しばらくの間は散り乱れないでくれ。妻の住むあたりを見よう。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 137
詞書は前の歌に続き「柿本朝臣人麻呂、石見国より妻に別れて上り来る時の歌、反歌二首」
秋の山に散り落ちる紅葉に向かって、妻の住むあたりを見たいから、しばらくは散り乱れないでくれと呼びかけた一首である。
人麻呂が石見の国で妻と別れ、都へ上るときに詠んだ一連は、石見相聞歌と呼ばれ、人麻呂の代表作として名高い。本歌は第百三十五首の長歌に添えられた反歌二首の二首目で、長歌の中の、紅葉が散り乱れて妻の袖がはっきり見えないという場面を受けている。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の時代に活躍した宮廷歌人で、長歌や挽歌にすぐれ、万葉集を代表する歌人である。後の時代には歌聖と称えられた。
本文には異伝の注記があり、四句を「散りな乱ひそ」とする本がある。ここでは本行に従う。
初句「秋山に」は紅葉した秋の山をいう。本巻の第九十二首の鏡王女の歌、第百六首の大伯皇女の歌にも秋山が詠まれている。
二句「落つる黄葉」は、散り落ちる紅葉の意で、呼びかけの対象である。
三句「しましくは」は、しばらくの間はの意である。
四句「な散り乱ひそ」の「な〜そ」は禁止を表し、散り乱れないでくれの意。「乱ふ」は入り乱れて見分けがつかなくなる意である。四句切れとなる。
結句「妹があたり見む」の「む」は意志で、妻の住むあたりを見ようと願う。
もみちば:紅葉した葉
まがふ:入り乱れて見分けがつかなくなる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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青駒が足掻きを速み雲居にぞ 妹があたりを過ぎて来にける
- 次の歌
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石見の海打歌の山の木の間より 我が振る袖を妹見つらむか