数ならぬ身は心だになからなん
思ひ知らずは怨みざるべく
- 歌の意味
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人並みにも数えられないこの身には、せめて心だけでもなければよい。物事を思い知ることがなければ、恨まずにいられるように。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 984
詞書は前の歌に続き「題しらず」
人並みにも数えられないこの身には、せめて心だけでもなければよい、思い知ることがなければ恨まずにすむのだから、と詠む歌である。取るに足りない身でありながら、相手のつれなさを感じ取ってしまう心があるために苦しむことを嘆き、いっそ心などなければと願っている。
初句「数ならぬ」は、人並みにも数えられない、取るに足りない、の意である。巻第十四の第九百十八首の初句「数ならぬ」と、同じ語句で歌い起こしている。
二句「身は心だに」は、この身にはせめて心だけでも、の意で、「だに」は最小限の願いを表す。
三句「なからなん」は、なければよい、の意で、「なん」は他に対して望む意を表す終助詞である。ここで句切れとなる。
四句「思ひ知らずは」は、思い知ることがなければ、の意である。本巻の第九百三十三首の四句「思ひ知らずと」、第九百四十七首の二句「思ひ知るやは」と、「思ひ知る」の語を共有している。
結句「怨みざるべく」は、恨まずにいられるように、の意で、「べく」は可能を表す助動詞「べし」の連用形である。三句の願いの目的を倒置によって後から述べている。
かず:数。数えたてるに値するもの、人並みの者
おもひしる:思ひ知る。身にしみて悟る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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わたつ海の深き心はありながら うらみられぬるものにぞありける
- 次の歌
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怨みての後さへ人のつらからば いかに言ひてか音をも泣かまし