春日野の荻の焼け原あさるとも
見えぬなき名をおほすなるかな
- 歌の意味
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春日野の荻の焼け野原をくまなく探しても何も見つからないように、ありもしない浮き名を、あなたは私に負わせるということだなあ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1020
詞書「人に物言ふと聞きて訪はざりける男のもとに」
春日野の焼け野原をいくら探しても何も見つからないように、何の根拠もない浮き名を私に負わせるのですね、と詠む歌である。詞書から、ほかの男と親しくしていると聞いて訪れなくなった男のもとへ送った歌とわかる。野焼きの後の、隠れる所もない焼け原を持ち出し、疑われるようなことは何もないと、男の誤解をとがめている。
作者の中宮内侍は、中宮に仕えた内侍で、伝は詳らかでない。
初句「春日野の」は、大和国の春日野の、の意で、春日野は野焼きや若菜摘みで知られる歌枕である。
二句「荻の焼け原」は、野焼きの後の荻原、の意で、隠れる物のない野をいう。
三句「あさるとも」は、探し求めても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
四句「見えぬなき名を」は、何も見当たらない根拠のない噂を、の意である。
結句「おほすなるかな」は、負わせるということだなあ、の意で、「なる」は伝聞推定の助動詞、「かな」は詠嘆を表す。
なきな:無き名。根拠のない噂
あさる:漁る。えさや物を探し求める
おほす:負ほす。負わせる
- 作者
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中宮内侍
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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思ふ事言はでやみなん春霞 山路も近したちもこそ聞け
- 次の歌
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雪をうすみ垣根に摘める唐なづな なづさはまくのほしき君かな