咲きし時猶こそ見しか桃の花
散れば惜しくぞ思ひなりぬる
- 歌の意味
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咲いていた時は何ということもなく見ていたけれども、桃の花よ、散ってしまうと惜しいと思うようになったことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1030
詞書「題しらず」
咲いている時はさほど心にとめずに見ていた桃の花も、散ってしまうと惜しく思われてきたと詠む歌である。失いかけてはじめてそのよさに気づくという、移ろうものへの心の動きを素直に表している。
初句「咲きし時」は、咲いていた時は、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「猶こそ見しか」は、なにげなく見ていたけれども、の意で、係助詞「こそ」を受けて過去の助動詞「き」の已然形「しか」で結び、逆接で下へ続けている。
三句「桃の花」は、桃の花よ、の意である。
四句「散れば惜しくぞ」は、散ると惜しいと、の意で、係助詞「ぞ」は結句の連体形「ぬる」で結ぶ係り結びである。
結句「思ひなりぬる」は、思うようになったことだ、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。二句の「見しか」の過去と、結句の今の思いとを対比している。
おもひなる:思ひ成る。そう思うようになる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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引く人もなしと思ひし梓弓 今ぞうれしきもろやしつれば
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山里の家居は霞こめたれど 垣根の柳末は外に見ゆ