- 歌の意味
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紫の色が濃いので、藤の花がまといつく松の緑までもが、その色に移り染まってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1070
詞書は前の歌に続き「左大臣、娘の中宮の料に調じ侍りける屏風に」
藤の花の紫の色が濃いので、まといつく松の緑までもがその色に染まってしまったと詠む歌である。詞書は前歌の第千六十九首と同じで、左大臣藤原道長が娘の中宮彰子のために調えた屏風に添えた歌である。松にかかる藤の花の色の濃さを、常緑の松の緑さえ変えてしまうほどだと誇張し、藤原氏の勢いの盛んなことをことほいでいる。藤を詠む一連の結びである。
初句「紫の」は、紫の、の意で、前の二首の第千六十八首の三句、第千六十九首の初句「紫の」と同じ語である。
二句「色し濃ければ」は、色が濃いので、の意で、「し」は強めの副助詞、「ば」は已然形について原因を表す。
三句「藤の花」は、藤の花の、の意である。
四句「松の緑も」は、松の緑までも、の意で、本巻の第千六十七首の初句「松風の」と同じく、松と藤とを取り合わせている。
結句「移ろひにけり」は、色が移ってしまったことだ、の意で、「に」は完了、「けり」は詠嘆の助動詞である。本巻の第千五十四首の結句「移ろひにけり」と同じ句であるが、あちらが花の色あせる嘆きであるのに対し、こちらは藤の色に染まる盛んさを詠み、対照をなしている。
うつろふ:移ろふ。色が変わる、ほかの色に染まる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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紫の雲とぞ見ゆる藤の花 いかなる宿のしるしなるらん
- 次の歌
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郭公通ふ垣根の卯の花の 憂きことあれや君が来まさぬ