小倉山峰立ちならし鳴く鹿の
経にける秋を知る人のなき
- 歌の意味
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小倉山の峰を踏みならしながら鳴く鹿が、どれほどの秋を過ごしてきたのか、それを知る人はいないことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1102
詞書「女郎花といふことを、句の上に置きて」
小倉山の峰を行き来して鳴く鹿が、どれほどの秋を過ごしてきたのかを知る人はいないと詠む歌である。詞書から、「をみなへし」の五文字を各句の初めに一字ずつ置いて詠んだ折句の歌とわかる。各句の頭の「を」「み」「な」「へ」「し」をつなげると「をみなへし」となり、女郎花を詠む一連の後に、その名を句に隠した技巧の歌を置いている。
なお本文の結句は「しる人のなき」とあり、読み仮名の行の「しるひとそなき」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「小倉山」は、山城国の歌枕で、「をぐらやま」の「を」を句の頭に置いている。本巻の第千百二十八首の初句「小倉山」と同じ語を共有している。
二句「峰立ちならし」は、峰を何度も行き来して踏みならし、の意で、句の頭に「み」を置いている。
三句「鳴く鹿の」は、鳴く鹿が、の意で、句の頭に「な」を置いている。
四句「経にける秋を」は、過ごしてきた秋を、の意で、句の頭に「へ」を置いている。「に」は完了、「ける」は過去の助動詞である。
結句「知る人のなき」は、知る人はいない、の意で、句の頭に「し」を置き、五句の頭で「をみなへし」を完成させている。
をりく:折句。物の名を一字ずつ各句の初めに詠み込む技法
たちならす:立ち平す。何度も行き来して地面を踏みならす
ふ:経。時が過ぎる、年月を過ごす
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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家づとにあまたの花も折るべきに ねたくも鷹を据ゑてけるかな
- 次の歌
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こてふにも似たるものかな花すすき 恋しき人に見すべかりけり