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こてふにも似たるものかな花すすき
恋しき人に見すべかりけり

歌の意味
舞う胡蝶にも、「来よ」と言って人を招く姿にも似ているものだなあ、この花すすきは。恋しい人に見せるべきだった。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1103

詞書「題しらず」
 風に揺れる花すすきを、舞う胡蝶にも、「来」と言って人を招く姿にも似ていると見て、恋しい人に見せるべきだったと詠む歌である。「こてふ」に「胡蝶」と「来てふ」を掛け、人を招くように揺れる花すすきの姿に、恋しい人を呼び寄せたい思いを重ねている。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。

 初句「こてふにも」は、「こてふ」が「胡蝶」と、「来」と言う意の「来てふ」を掛ける掛詞である。
 二句「似たるものかな」は、似ているものだなあ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「花すすき」は、穂の出たすすきで、風に揺れる穂が人を招く手に見立てられた。
 四句「恋しき人に」は、恋しい人に、の意である。
 結句「見すべかりけり」は、見せるべきだった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。

こてふ:「胡蝶」と、「来」と言う意の「来てふ」を掛ける
はなすすき:花薄。穂の出たすすき
作者
紀貫之
出典
拾遺和歌集
前の歌
小倉山峰立ちならし鳴く鹿の 経にける秋を知る人のなき
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