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家づとにあまたの花も折るべきに
ねたくも鷹を据ゑてけるかな

歌の意味
家への土産に、たくさんの花を手折ることもできるのに、いまいましいことに、手に鷹を据えてしまっていることだ。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1101

詞書「円融院の御屏風に、秋の野に色々の花咲き乱れたる所に鷹据ゑたる人あり」
 家への土産に多くの花を手折ることもできるのに、いまいましいことに手に鷹を据えてしまっていて、花を折ることができないと詠む歌である。詞書から、円融天皇の御代の屏風に描かれた、色とりどりの花が咲き乱れる秋の野に、鷹を拳に据えた人がいる絵に添えた歌とわかる。絵の中の鷹狩りの人の立場に立ち、花を折れない残念さを詠んでいる。
 作者の平兼盛は、光孝天皇の後裔で、王族から臣籍に下って平の姓を賜り、駿河守などを務めた。天徳内裏歌合で壬生忠見と競ったことで知られ、三十六歌仙に数えられる。

 初句「家づとに」は、家への土産に、の意である。
 二句「あまたの花も」は、たくさんの花も、の意で、本巻の第千九十九首の二句「花の色々」と、秋の野の色とりどりの花を共有している。
 三句「折るべきに」は、手折ることもできるのに、の意で、「に」は逆接の接続助詞である。
 四句「ねたくも鷹を」は、いまいましいことに鷹を、の意で、「ねたし」はくやしい、いまいましい意である。
 結句「据ゑてけるかな」は、据えてしまっていることだ、の意で、「て」は完了の助動詞、「ける」は詠嘆の助動詞、「かな」は詠嘆の終助詞である。本巻の第千九十九首の三句「取りすゑて」と「すう」の語を共有し、花を取る者と、鷹を据えて花を取れない者とが対をなしている。

いへづと:家苞。家に持ち帰る土産
すう:据う。鷹を拳に止まらせる
作者
平兼盛
出典
拾遺和歌集
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船岡の野中に立てる女郎花 渡さぬ人はあらじとぞ思ふ
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小倉山峰立ちならし鳴く鹿の 経にける秋を知る人のなき