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忘るやとながらへゆけど身に添ひて
恋しきことはおくれざりけり

歌の意味
忘れられるかと生きながらえてきたけれど、恋しい思いはわが身に寄り添って、少しも遅れずについてきたことだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 201

 時がたてば忘れられるかと生き続けてきたが、恋しさは影のように身に付き従い、置き去りにはできなかったと詠む一首である。恋心を身に添う連れのように擬人化し、忘れられない思いの深さを表している。

 初句「忘るやと」は、係助詞「や」で、忘れられるかとの期待を示す。
 二句「ながらへゆけど」は、逆接の「ど」で、生きながらえていくけれどもという意を表す。
 三句「身に添ひて」は、恋しさが身から離れずに付き従う様子で、恋心を連れに見立てた擬人法である。
 四句「恋しきことは」は、係助詞「は」で恋しさを主題として取り立てる。
 結句「おくれざりけり」は、詠嘆の「けり」で、恋しさは遅れることなくついてきたと気づいて結ぶ。

ながらふ:生きながらえる
おくる:あとに残る。取り残される
作者
平兼盛
出典
詞花和歌集
前の歌
わがためにつらき人をばおきながら 何の罪なき世をや恨みむ
次の歌
年を経て燃ゆてふ富士の山よりも 逢はぬおもひはわれぞまされる