年を経て燃ゆてふ富士の山よりも
逢はぬおもひはわれぞまされる
- 歌の意味
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長い年月燃え続けているという富士の山よりも、逢えない恋の思いの火はわたしのほうがまさっている。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 202
噴煙を上げ続ける富士山を引き合いに出し、逢えない恋の思いの火は富士よりも激しいと誇張して詠む一首である。富士の煙は古くから恋の思いの比喩として詠まれ、その伝統を踏まえている。
初句「年を経て」は、長い年月にわたってという意で、燃え続ける時間の長さを示す。
二句「燃ゆてふ富士の」は、伝聞の「てふ」で、燃えると言われる富士山を示す。当時の富士山は噴煙を上げていたとされる。
三句「山よりも」は、比較の「より」で、富士山を比較の対象に置く。本巻の巻頭の第百八十七首、第百八十八首の火と煙の歌に連なり、恋の火を山の規模にまで広げている。
四句「逢はぬおもひは」は、「思ひ」の「ひ」に「火」を掛け、逢えない恋の苦しさを燃える火にたとえる。
結句「われぞまされる」は、係助詞「ぞ」と存続の助動詞「り」の連体形「る」による係り結びで、わたしのほうがまさると強く結ぶ。
おもひ:恋の思いと、燃える火を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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忘るやとながらへゆけど身に添ひて 恋しきことはおくれざりけり
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わびぬればしひて忘れむと思へども 心弱くも落つる涙か