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水の面に宿れる月ののどけきは
なみゐて人の寝ぬ夜なればか

歌の意味
水面に映る月が穏やかなのは、波が静まり、人々が並んで座って、眠らずに月を見ている夜だからだろうか。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1107

詞書「八月に人の家の釣殿に客人あまたありて月を見る」
 水面に映る月が穏やかなのは、波が静まり、人々が並んで座って眠らずに月を見ている夜だからだろうかと詠む歌である。詞書から、八月に、ある人の家の釣殿に大勢の客が集まって月を見ている場面を詠んだ歌とわかる。「なみ」に「並み」と「波」を掛け、人々が月を愛でる夜の、波立たない水面ののどかさを描いている。
 作者の「したかふ」は源順である。嵯峨源氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読にあたり、辞書の和名類聚抄を編んだ。三十六歌仙に数えられる。

 初句「水の面に」は、水面に、の意で、六音の字余りの句である。
 二句「宿れる月の」は、映っている月の、の意で、「宿る」は月が水に映ることをいう。
 三句「のどけきは」は、穏やかなのは、の意である。
 四句「なみゐて人の」は、「なみ」が人が「並み」居ると、「波」を掛ける掛詞である。
 結句「寝ぬ夜なればか」は、眠らない夜だからだろうか、の意で、「か」は疑問の係助詞で、下に「あらん」などが省略されている。

つりどの:釣殿。寝殿造りで、池に臨んで建てられた建物
まらうど:客人。訪れてきた客
なみゐる:人が「並み居る」意に、「波」を掛ける
作者
源順
出典
拾遺和歌集
前の歌
ももしきの大宮ながら八十島を 見る心地する秋の夜の月
次の歌
走り井のほどを知らばや逢坂の 関引き越ゆる夕影の駒