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名を聞けば昔ながらの山なれど
時雨るる頃は色変はりけり

歌の意味
名前を聞けば、昔のままに変わらないという長等の山であるけれども、時雨の降る頃には、その色が変わってしまったことだ。
鑑賞
巻第十七 雑秋歌 1139

詞書「十月、志賀の山越えしける人々」
 名を聞けば昔のままという意の長等の山だけれども、時雨の降る頃には色が変わってしまったと詠む歌である。詞書から、十月に志賀の山越えをする人々を描いた場面に寄せた歌とわかる。「ながら」に「昔ながら」と長等山を掛け、名に反して時雨に紅葉する山の姿を、機知を込めて描いている。
 作者の「源したかふ」は源順である。嵯峨源氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読にあたり、辞書の和名類聚抄を編んだ。三十六歌仙に数えられる。

 初句「名を聞けば」は、名前を聞くと、の意である。
 二句「昔ながらの」は、「ながら」が昔のままの意の「ながら」と、近江国の長等山を掛ける掛詞である。
 三句「山なれど」は、山であるけれども、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
 四句「時雨るる頃は」は、時雨の降る頃には、の意で、前歌の第千百三十八首、次歌の第千百四十首と、時雨を詠む歌が続いている。
 結句「色変はりけり」は、色が変わってしまったことだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。二句の「昔ながら」と、変わらないものと変わるものとで対をなしている。

ながら:昔のままの意の「ながら」と、近江国の長等山を掛ける
しがのやまごえ:志賀の山越え。京の北白川から比叡山の南を越えて、近江の志賀へ出る道
しぐる:時雨る。時雨が降る
作者
源順
出典
拾遺和歌集
前の歌
杣山に立つ煙こそ神無月 時雨をくだす雲となりけれ
次の歌
紅葉葉や袂なるらん神無月 時雨るるごとに色のまされば