- 歌の意味
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杣山に立ちのぼる煙こそが、十月の時雨を降らせる雲となったのだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1138
詞書「時雨を」
杣山に立ちのぼる煙こそが、十月の時雨を降らせる雲となったのだと詠む歌である。詞書から、時雨を題として詠んだ歌とわかる。材木を切り出す山で焚かれる煙が空にのぼって雲となり、冬の初めの時雨を降らせると見立て、山里の初冬の景を描いている。
ここから第千百四十一首まで、十月の時雨を詠む歌が続いている。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた神官の家の人で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進にあたった。三十六歌仙に数えられる。
初句「杣山に」は、材木を切り出す山に、の意である。
二句「立つ煙こそ」は、立ちのぼる煙こそが、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形「けれ」と呼応して係り結びとなる。
三句「神無月」は、陰暦十月で、冬の初めの月である。本巻の第千百四十首の三句「神無月」と同じ語を共有している。
四句「時雨をくだす」は、時雨を降らせる、の意である。本巻の第千百三十九首から第千百四十一首まで、時雨を詠む歌が続いている。
結句「雲となりけれ」は、雲となったのだ、の意で、「けれ」は気づきの詠嘆を表す助動詞「けり」の已然形であり、二句の「こそ」を受けて結んでいる。
そまやま:杣山。木を植えて育て、材木を切り出す山
かみなづき:神無月。陰暦十月
しぐれ:時雨。晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだりする雨
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋もまだ遠くもあらぬにいかで猶 立ち帰れとも告げにやらまし
- 次の歌
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名を聞けば昔ながらの山なれど 時雨るる頃は色変はりけり