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ゆゆしとて忌むとも今はかひもあらじ
憂きをば風につけてやみなん

歌の意味
縁起が悪いといって忌み避けても、今はもうかいもないだろう。つらいことは、この扇の風にことづけて、終わりにしてしまおう。
鑑賞
巻第十九 雑恋 1270

詞書「女のもとに扇を遣はしたりければ、言ひ遣はしたりける」
 縁起が悪いといって忌み避けても今はかいもない、つらいことはこの扇の風にことづけて終わりにしようと詠む歌である。詞書から、男が女のもとに扇を贈ってきたので、女が言い送った歌とわかる。扇は風を起こすことから、贈り物とするのを忌む向きもあったとみられ、その扇を受け取った女は、もう縁起を気にしても仕方がない、つらい思いは扇の風に乗せて吹き払い、二人の仲も終わりにしようと、別れを告げている。

 初句「ゆゆしとて」は、縁起が悪いといって、の意である。
 二句「忌むとも今は」は、忌み避けても今は、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
 三句「かひもあらじ」は、かいもないだろう、の意で、「じ」は打消の推量である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「憂きをば風に」は、つらいことを風に、の意で、贈られた扇の起こす風をいう。
 結句「つけてやみなん」は、ことづけて終わりにしてしまおう、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」は意志の助動詞である。

いむ:忌む。縁起が悪いとして避ける
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
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思ひ出でて訪ふにはあらずあき果つる 色の限りを見するなりけり
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