思ひきや秋の夜風の寒けきに
妹なき床にひとり寝むとは
- 歌の意味
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思っただろうか、いや思いもしなかった。秋の夜風が寒いのに、妻のいない床にひとりで寝ることになろうとは。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1285
詞書「妻の亡くなりて侍りけるころ、秋風の夜寒に吹き侍りければ」
秋の夜風が寒い時に、妻のいない床にひとりで寝ることになろうとは思いもしなかったと詠む歌である。詞書から、妻が亡くなった頃、秋風が夜寒に吹いたので詠んだ歌とわかる。身にしみる秋の夜風の寒さに、共に寝る人を失った孤独の寒さを重ね、まさかこのようなことになるとはという驚きと嘆きを、初句で強く打ち出している。
作者の「大弐国章」は藤原国章である。藤原元名の子で、大宰大弐を務めた。
初句「思ひきや」は、思っただろうか、いや思いもしなかった、の意で、「き」は過去、「や」は反語を表す。ここで句切れとなる初句切れの歌で、以下の内容を倒置して示している。
二句「秋の夜風の」は、秋の夜に吹く風が、の意である。
三句「寒けきに」は、寒いのに、の意で、夜寒の身にしみるさまをいう。
四句「妹なき床に」は、妻のいない寝床に、の意で、「妹」は男が妻を親しんで呼ぶ語である。
結句「ひとり寝むとは」は、ひとりで寝ようとは、の意で、「む」は推量の助動詞、「とは」で初句の「思ひきや」に返っている。
いも:妹。男が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
よさむ:夜寒。秋の夜の寒さ
- 作者
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藤原国章
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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時ならでははその紅葉散りにけり いかにこのもとさびしかるらん
- 次の歌
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秋風になびく草葉の露よりも 消えにし人を何にたとへん