秋風になびく草葉の露よりも
消えにし人を何にたとへん
- 歌の意味
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秋風になびく草葉の露よりも、さらにはかなく消えてしまった人を、いったい何にたとえようか。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1286
詞書「中宮隠れたまひての年の秋、御前の前栽に露の置きたるを風の吹きなびかしけるを御覧じて」
秋風になびく草葉の露よりもはかなく消えてしまった人を、何にたとえようかと詠む歌である。詞書から、中宮が亡くなった年の秋、御前の植え込みに置いた露を風が吹きなびかせているのを見て詠んだ歌とわかる。中宮は藤原安子で、康保元年(964)に没した。はかないものの代表である露でさえたとえにならないほど、あっけなく世を去った中宮への深い悲しみを伝えている。
作者の「天暦御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治と称され、後撰和歌集の撰集を命じた。
初句「秋風に」は、秋風に、の意で、詞書の風をいう。
二句「なびく草葉の」は、なびく草の葉の、の意で、詞書の前栽の草をいう。
三句「露よりも」は、露よりも、の意で、はかなく消える露と比べている。
四句「消えにし人を」は、消えてしまった人を、の意で、「にし」は完了と過去の助動詞である。露の縁語「消え」で人の死をいう。
結句「何にたとへん」は、何にたとえようか、の意で、たとえるものもないという嘆きを表す。
せんざい:前栽。庭の植え込み
かくる:隠る。亡くなる
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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思ひきや秋の夜風の寒けきに 妹なき床にひとり寝むとは
- 次の歌
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去年見てし秋の月夜は照らせども 相見し妹はいや遠ざかり