今来むと頼めつつふる言の葉ぞ
常磐に見ゆる紅葉なりける
- 歌の意味
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すぐに参りますと私にあてにさせながら月日を過ごし、古びたままのあなたの言葉こそ、いつまでも色の変わらない紅葉なのだった。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1247
詞書「御返し」
秋冬の景物に寄せて疎遠を嘆く一連の七首目で、前歌への返しである。すぐに参りますとあてにさせながら月日を過ごしてきたあなたの言葉こそ、いつまでも色の変わらない紅葉なのだった、と答える。
作者の「天暦御歌」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は父の延喜の治と並んで天暦の治と称された。天暦は在位中の年号であり、天暦御歌は村上天皇の御製の意である。
初句「今来むと」は、すぐに参りましょう、の意で、前歌の詞書にある「春になりて」という作者の約束を指す。
二句「頼めつつふる」の「頼め」は下二段活用で、相手にあてにさせる、の意である。「ふる」は、月日を「経る」意と、言葉が「古る」意とを掛ける掛詞である。
三句「言の葉ぞ」は、言葉を葉にたとえ、結句の「紅葉」と結ぶ。「ぞ」は結句の「ける」と係り結びをなす。
四句「常磐に見ゆる」は、いつまでも色が変わらずに見える、の意である。紅葉は本来色の変わるものであるのに、約束の言葉だけは変わらず、果たされないままだという皮肉を込める。
結句「紅葉なりける」は、紅葉なのであった、の意である。前歌の結句「紅葉をぞ見る」を受け、作者が付けた楓の紅葉を、果たされない約束の言葉に見立てて返している。本巻の第千二百四十一首で伊勢が「言の葉のうつろふ」と嘆いたのに対し、ここでは言の葉が常磐に見えるとする反転があり、秋冬の景物に寄せる一連をこの贈答で結んでいる。
たのむ:あてにさせる、期待させる
ふる:月日を経る意と、言葉が古くなる意を掛ける
ときは:永久に変わらないこと、常緑
- 作者
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村上天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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霞むらむほどをも知らず時雨つつ 過ぎにし秋の紅葉をぞ見る
- 次の歌
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玉鉾の道ははるかにあらねども うたて雲居にまどふころかな