逢ふことをはつかに見えし月影の
おぼろけにやはあはれとは思ふ
- 歌の意味
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二十日の月がほのかに見えるように、わずかに逢うことのできたあなたを、並一通りの思いでいとしいと思っているだろうか。いや、並々ならず思っているのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1256
詞書「広幡の御息所に遣はしける」
月に寄せる恋を詠む一連の一首目である。二十日の月のようにわずかに逢ってくれたあなたを、並一通りにいとしく思っているのではないと詠む。詞書によれば、広幡の御息所に贈った歌である。
作者の「天暦御歌」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は父の延喜の治と並んで天暦の治と称された。天暦は在位中の年号であり、天暦御歌は村上天皇の御製の意である。詞書の「広幡の御息所」は、村上天皇の更衣で、源庶明の娘の源計子である。御息所は、天皇の寵を受けた女御、更衣などを言う語である。
なお本文の結句は「あはれとは思ふ」とあり、読み仮名の行の「あはれともおもふ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「逢ふことを」は、逢うことを、の意である。
二句「はつかに見えし」の「はつか」は、わずかに、の意と、月の「二十日」とを掛ける掛詞である。二十日の月は夜更けてから遅く出るため、わずかにしか見られない月でもある。
三句「月影の」は月の光、月の姿で、四句の「おぼろ」を導く。この句から、月に寄せる恋の一連が始まる。
四句「おぼろけにやは」の「おぼろけ」は、並一通り、の意に、月の「朧」を掛けている。「やは」は反語である。本巻の第千二百五十八首の中務の歌にも、「おぼろけ」が月とともに詠まれている。
結句「あはれとは思ふ」は、並一通りにいとしく思っているのか、いやそうではない、の意である。わずかな逢瀬ゆえにかえって思いが深いことを、月の縁で連ねて告げている。
はつか:わずかにの意と、二十日の意を掛ける
おぼろけ:並一通りの意に、朧を掛ける
みやすどころ:天皇の寵を受けた女御、更衣など
- 作者
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村上天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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かれにけるあふひのみこそ悲しけれ あはれと見ずや賀茂の瑞垣
- 次の歌
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更級や姨捨山の有明の つきずもものを思ふころかな