草枕人は誰とか言ひ置きし
つひの住処は野山とぞ見る
- 歌の意味
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旅の仮寝の草枕とは、人は誰のことと言い置いたのだろうか。人の最後の住処は、野山であると見るのだ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1326
詞書「世のはかなきことを言ひて詠み侍りける」
草枕とは人は誰のことと言い置いたのか、人の最後の住処は野山であると見ると詠む歌である。詞書から、世のはかないことを語り合って詠んだ歌とわかる。旅寝を意味する「草枕」は、旅人だけのことではなく、誰もが最後には野山に葬られて草を枕とするのだと、人の世はみな旅の仮の宿りであるという無常の思いを詠んでいる。前歌の第千三百二十五首が草むらに置かれた亡骸を詠んだのに続く。
作者の「したがふ」は源順である。嵯峨源氏で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読にあたり、和名類聚抄を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「草枕」は、旅寝のこと、の意で、草を結んで枕とすることから旅の仮寝をいう。
二句「人は誰とか」は、人は誰のことと、の意で、係助詞「か」は三句の連体形「し」で結ぶ係り結びである。
三句「言ひ置きし」は、言い残したのだろうか、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「つひの住処は」は、最後に住む所は、の意で、死後に葬られる所をいう。
結句「野山とぞ見る」は、野山であると見る、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「見る」で結ぶ係り結びである。初句の「草枕」を、葬られる野山の草と結びつけている。
くさまくら:草枕。旅寝、旅の仮寝
つひのすみか:終の住処。最後に住む所、死後に葬られる所
- 作者
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源順
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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皆人の命を露にたとふるは 草むらごとに置けばなりけり
- 次の歌
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世の中を何にたとへむ朝ぼらけ 漕ぎゆく舟の跡の白波