皆人の命を露にたとふるは
草むらごとに置けばなりけり
- 歌の意味
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誰もが人の命を露にたとえるのは、露が草むらごとに置くように、亡き人がどの草むらにも置かれているからであったのだ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1325
詞書「病して人多く亡くなりし年、亡き人を野ら藪などに置きて侍るを見て」
誰もが人の命を露にたとえるのは、草むらごとに置くからであったと詠む歌である。詞書から、疫病のために多くの人が亡くなった年、亡骸を野原や藪などに置いてあるのを見て詠んだ歌とわかる。露が草むらに置くことと、亡骸が草むらに置かれていることとを重ね、命を露にたとえる言い習わしの意味を思い知ったと、疫病の惨状を目の当たりにした衝撃を詠んでいる。
作者のすけきよは、伝の詳らかでない人物である。
初句「皆人の」は、誰もが、の意である。
二句「命を露に」は、人の命を露に、の意で、すぐに消える露を命のはかなさのたとえとすることをいう。本巻の第千二百八十六首の三句「露よりも」と、命を露になぞらえる点で通い合っている。
三句「たとふるは」は、たとえるのは、の意である。
四句「草むらごとに」は、どの草むらにも、の意で、亡骸があちこちに置かれていることをいう。
結句「置けばなりけり」は、置くからであったのだ、の意で、露が草に置く意と、亡骸が置かれる意とを重ねている。「けり」は気づきの詠嘆を表す。
のら:野ら。野原
- 作者
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すけきよ
- 出典
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鳥辺山谷に煙の燃え立たば はかなく見えし我と知らなん
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草枕人は誰とか言ひ置きし つひの住処は野山とぞ見る