いつしかと君にと思ひし若菜をば
法の道にぞ今日は摘みつる
- 歌の意味
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早くあなたに差し上げたいと思っていた若菜を、今日は、仏の道のために摘んだことだ。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1338
詞書「天暦御時、故后の宮の御賀せさせたまはむとて侍りけるを、宮失せ給ひにければ、やがてその設けして御諷誦行はせ給ひける時」
早くあなたにと思っていた若菜を、今日は仏の道のために摘んだと詠む歌である。詞書から、村上天皇の御代に、亡き太后の長寿の祝いを催そうとしていたところ、太后が亡くなったので、そのまま祝いの準備を用いて追善の御諷誦を行わせた時の歌とわかる。太后は天皇の母藤原穏子で、天暦8年(954)に没した。長寿を祝う賀に供えるはずだった若菜を、仏事のために摘むことになった悲しみを詠んでいる。
作者の「御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治と称され、後撰和歌集の撰集を命じた。
初句「いつしかと」は、早くと、の意で、待ち望む気持ちを表す。
二句「君にと思ひし」は、あなたに差し上げようと思っていた、の意で、母の太后をいう。
三句「若菜をば」は、若菜を、の意で、長寿を祝う賀に供える若菜をいう。
四句「法の道にぞ」は、仏の道のために、の意で、係助詞「ぞ」は結句の連体形「つる」で結ぶ係り結びである。
結句「今日は摘みつる」は、今日は摘んだことだ、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。賀の若菜摘みが追善の仏事となったことをいう。
が:賀。長寿の祝い
ふじゆ:諷誦。経文を声をあげて読むこと、またその布施
まうけ:設け。準備、用意
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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こふつくす御手洗川の亀なれば 法の浮木に逢はぬなりけり
- 次の歌
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薪こることは昨日に尽きにしを いざをのの柄はここに朽たさん