- 歌の意味
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雪が深く、岩に架けた険しい道も人の足跡が絶えている吉野の里にも、春はやって来たのだなあ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 3
詞書「百首歌奉りける時、初めの春の心をよめる」
崇徳院に百首歌を奉った際、春の初めを題として詠んだ歌である。雪が深く積もり、岩の崖に架けた細い道には人の足跡も絶えている山深い吉野の里にも、春は訪れたのだと詠む。人の通わぬ厳しい冬の山里と、それでも分け隔てなくやって来る春とを対比させ、春の到来への感動を素直に表している。
作者の「待賢門院堀河」は神祇伯源顕仲の娘である。鳥羽天皇の中宮待賢門院藤原璋子に仕えた女房で、院政期を代表する女流歌人の一人である。妹に上西門院兵衛がいる。
初句「雪深き」は、吉野の山里に雪が深く積もっていることをいう。吉野は雪の名所として古くから詠まれてきた。
二句「岩の懸け道」は、岩の崖に沿って板などを架け渡した険しい道をいう。山深い里へ通じる道の困難さを示す。
三句「跡絶ゆる」は、人の足跡が途絶えている、の意で、連体形で四句の「吉野の里」にかかる。次歌の第四首「道絶ゆと」も、雪で道が通わなくなる山里を詠み、本歌と並んで配されている。
四句「吉野の里も」の「も」は、都と同じように、この人里離れた吉野の里にも、という意を込める。
結句「春は来にけり」の「に」は完了の助動詞、「けり」は気づきの詠嘆を表し、春が来ていたのだなあ、という感動を示す。
かけぢ:崖に沿って板などを架け渡した険しい道
あとたゆ:人の通った足跡が途絶える
- 作者
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待賢門院堀河
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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三室山谷にや春の立ちぬらむ 雪の下水岩たたくなり
- 次の歌
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道絶ゆと厭ひしものを山里に 消ゆるは惜しき去年の雪かな