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さ夜更けて風や吹くらむ花の香の
匂ふ心地のそらにするかな

歌の意味
夜が更けて、風が吹いているのだろうか。花の香りが匂ってくる気配が、空からどこからともなくすることだ。
鑑賞
巻第一 春歌上 23

詞書「題しらず」
 夜更けに、どこからともなく花の香りが漂ってくるのを感じ、風が吹いて香りを運んでいるのだろうかと推し量る歌である。姿の見えない花の香りが空いっぱいに満ちるような感覚を、「そらにする」という言葉でとらえている。
 作者の「藤原道信朝臣」は太政大臣藤原為光の子の藤原道信である。左近衛中将に至ったが、二十三歳の若さで世を去った。中古三十六歌仙の一人である。

 初句「さ夜更けて」の「さ」は語調を整える接頭語で、夜が更けて、の意である。
 二句「風や吹くらむ」の「や」は疑問の係助詞で、現在推量の助動詞「らむ」の連体形と係り結びをなす。ここで句切れとなる。
 三句「花の香の」は、梅の歌の続く配列の中にあり、梅の花の香りを思わせる。
 四句「匂ふ心地の」は、香りが漂ってくる感じが、の意である。
 結句「そらにするかな」の「そら」は、「空」と、何となくそれと感じられる意の「そらに」との掛詞である。空から香りがする意と、どこからともなく香りがする意とを重ねている。

そら:「空」と、何となくそれと感じられる意の「そらに」を掛ける
作者
藤原道信
出典
千載和歌集
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梅が香におどろかれつつ春の夜の 闇こそ人はあくがらしけれ
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春の夜は軒端の梅を漏る月の 光も薫る心地こそすれ