- 歌の意味
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春の夜は、軒先の梅の枝の間から漏れてくる月の光までも、香っているような気持ちがすることだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 24
詞書「題しらず」
春の夜、軒先の梅の枝の間から月の光が漏れてくると、梅の香りが月光にまで移ったかのように、光そのものが香るように感じられると詠む。目に見える月の光と鼻で感じる梅の香りとを一つに溶け合わせ、艶やかで奥深い春の夜の情趣を描き出している。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、皇太后宮大夫を務めた。後白河院の院宣により千載和歌集を撰んだ本集の撰者で、藤原定家の父である。
初句「春の夜は」は、詠む場面を示す。次歌の第二十五首も同じ初句で始まり、春の夜の梅の香を詠む歌が並ぶ。
二句「軒端の梅を」の「軒端」は軒の端、軒先をいう。本巻の第二十九首も「軒端の梅」を詠む。
三句「漏る月の」の「漏る」は、梅の枝の隙間から月の光がこぼれ出ることをいう。
四句「光も薫る」の「も」は、梅の香ばかりでなく月の光までも、の意を添える。
結句「心地こそすれ」の「こそ」は係助詞で、「すれ」と已然形で結ぶ係り結びである。本巻の第五十一首も同じ「心地こそすれ」で結ばれる。
のきば:軒の端、軒先
もる:すき間からこぼれ出る
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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さ夜更けて風や吹くらむ花の香の 匂ふ心地のそらにするかな
- 次の歌
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春の夜は吹き舞ふ風の移り香を 木ごとに梅と思ひけるかな