よしさらば後の世とだに頼めおけ
つらさに堪へぬ身ともこそなれ
- 歌の意味
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よし、それならば、せめて来世で逢おうとだけでも約束しておいてくれ。このつらさに耐えきれず、死んでしまう身ともなりかねないのだから。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1232
詞書「女に遣はしける」
つれない人を恨み、そのつらさに耐える恋を詠む一連の十三首目である。それならばせめて来世で逢おうとだけでも約束しておいてくれ、このつらさに耐えきれない身ともなりかねないのだから、と詠む。詞書によれば、女に贈った歌で、次歌がその女の返歌である。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、皇太后宮大夫を務めた。後白河院の命により『千載和歌集』を撰進し、定家の父である。
次歌の作者は藤原定家の母で、この贈答の相手である女は、のちに俊成の妻となった。
初句「よしさらば」は、よし、それならば、の意である。この世では逢えないのならば、という諦めを含んで歌い起こす。
二句「後の世とだに」は、せめて来世とだけでも、の意である。「だに」は最小限の願いを示す。前の一連が同じ世に生きる甲斐を詠んだのを受け、望みを来世へと移している。
三句「頼めおけ」は、約束しておいてくれ、の意で、三句切れとなる。本巻の第千二百二首の「頼めおく」と同じ語を命令形で用いる。
四句「つらさに堪へぬ」は、つらさに耐えられない、の意である。第千二百二十八首の「憂きに堪へたる」の逆で、耐えきれない身を示す。
結句「身ともこそなれ」は、身ともなりかねない、の意である。「もこそ」は、そうなっては困るという懸念を表す。つらさのあまり死んでしまうかもしれないので、せめて来世の約束を、と迫る。巻頭歌が今日を限りの命を願ったのに対し、巻末近くの本歌は来世にまで望みをつないでいる。
のちのよ:来世。死後の世
たのむ:頼みに思わせる。約束する
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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身を知れば人の咎とは思はぬに 恨み顔にも濡るる袖かな
- 次の歌
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頼めおかんたださばかりを契りにて 憂き世の中の夢になしてよ