頼めおかんたださばかりを契りにて
憂き世の中の夢になしてよ
- 歌の意味
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約束しておきましょう。ただそれだけを二人の契りとして、この世でのことは、つらい世の中の夢と思ってしまってください。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1233
詞書「返し」
恋歌三の巻末歌であり、つれない人を恨み、そのつらさに耐える恋を詠む一連の十四首目で、前歌への返歌である。来世の約束をしておこう、ただそれだけを契りとして、この世のことはつらい世の中の夢と思ってほしいと詠む。
作者の「藤原定家朝臣母」は美福門院加賀である。藤原親忠の娘で、鳥羽天皇の皇后美福門院に仕えた女房である。はじめ藤原為経の妻となり、のちに藤原俊成の妻となって定家を産んだ。
初句「頼めおかん」は、約束しておきましょう、の意で、六音の字余りである。前歌の三句「頼めおけ」をそのまま受け、命令に対して意志で応じている。初句切れとなる。
二句「たださばかりを」は、ただそれだけを、の意である。前歌の「後の世とだに」の来世の約束を指す。
三句「契りにて」は、二人の契りとして、の意である。
四句「憂き世の中の」は、つらいこの世の中の、の意である。前歌の「後の世」に対して「憂き世」を置き、来世とこの世を対比する。
結句「夢になしてよ」は、夢と思ってしまってください、の意である。この世での恋のつらさは夢として忘れ、来世の約束だけを頼みにしてほしいと応じる。本巻では第千百五十九首以下に逢瀬を夢にたとえる一連があったが、巻末では恋のつらさそのものを夢とする。巻頭歌が今日を限りの命を願ったのに対し、巻末の贈答は来世の契りで結ばれ、恋歌三は命と逢瀬の歌に始まり、この世を夢と見る歌で閉じられている。
たのむ:頼みに思わせる。約束する
ちぎり:約束。男女の契り
- 作者
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美福門院加賀
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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よしさらば後の世とだに頼めおけ つらさに堪へぬ身ともこそなれ
- 次の歌
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宵々に君をあはれと思ひつつ 人には言はで音をのみぞ泣く