- 歌の意味
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風が吹き渡る軒先の梅に、鶯が鳴きながら枝から枝へと伝って移る、春の曙であることだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 29
詞書「題しらず」
春の明け方、風が吹き渡る軒先の梅の木で、鶯が鳴きながら枝から枝へと伝い移っているさまを詠む。風、梅、鶯、曙という春の景物を重ね、軒先という身近な場所から見た爽やかな春の朝の情景を描いている。
作者の「権大納言実家」は藤原実家である。右大臣藤原公能の子で、権大納言に至った。徳大寺実定の弟である。
初句「風渡る」は、風が吹き渡る、の意で、梅の香を運ぶ風を思わせる。
二句「軒端の梅に」の「軒端」は軒先をいう。本巻の第二十四首でも「軒端の梅」が詠まれている。
三句「鶯の」は、四句の「鳴きて木づたふ」の主語となる。
四句「鳴きて木づたふ」は、鳴きながら枝から枝へと移ってゆく、の意である。前歌の第二十八首と同じ「木づたふ」を用いる。
結句「春の曙」は体言止めで、前歌の第二十八首と同じ結句である。二首は鶯の声を、前歌は香りに重ね、本歌は風とともに描いて詠み分けている。
のきば:軒の端、軒先
こづたふ:枝から枝へと伝って移る
- 作者
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藤原実家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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梅が枝の花に木づたふ鶯の 声さへ匂ふ春の曙
- 次の歌
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昔より散らさぬ宿の梅の花 分くる心は色に見ゆらむ